引用元: <https://gigazine.net/news/20171024-hywind-scotland/>
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世界最大の浮体式洋上風力発電所「Hywind Scotland」が稼働を開始
2017年10月18日、スコットランドの沖合に建設された世界最大の海に浮かぶ風力発電施設「Hywind Scotland」が電力の供給を開始しました。ここで用いられる風車は翼長75メートルの羽根を3枚組み合わせた直径154メートルという巨大なもので、1基あたり6メガワットの出力を持つ風車を5基設置することで約2万世帯に電力を供給する能力を備えています。
この風車を設置したのはノルウェーの石油会社「スタトイル」(Statoil)で、5基の風車がスコットランド北東部・アバディーンシャー州にある町「ピーターヘッド」から25km沖に進んだ洋上に設置されています。ここで作り出された電力は、ノルウェーへと送られるのかと思いきや、実際には海底ケーブルを経由してピーターヘッドの町へと送られ、スコットランド内の電力網に送電されることとなっています。
5基の風車は、基礎を海底に固定しない浮上方式を採用。洋上に風車を建設する場合、工事の大変さや海流の影響などを考慮すると、水深50メートル前後が建設の限界といわれています。しかし、スタトイルが開発した風車は、釣りの時に使う「浮き」のような構造となっており、そこに取り付けた重りでバランスをとりながら洋上で発電できるように設計されています。今回の設置場所では水深が120メートル前後となっており、海底と風車をアンカーケーブルでつなぐことで、一定の位置に留まるようになっています。
風車の高さは、海面から羽根の先までが最大で175メートル。海面下には78メートルもの主塔延長部分が沈んでおり、全長は253メートルにもなります。スタトイルが示した比較対象が日本人には少しわかりづらいものとなっていますが、主塔だけでも自由の女神やビッグベンよりも大きなものとなっています。さらに、1枚あたりの長さが75メートルという羽根は、世界最大の旅客機「エアバスA380型機」の約79メートルに匹敵するものとなっています。
ビッグベンと並べてみるとこんな感じ。こんなに巨大な羽根がものすごい勢いで回転することで、1基あたり6メガワットという電力を作り出すというわけです。
風車の建設は、ノルウェー国内で行われたとのこと。風車は海上に浮かぶ部分と海中に沈む部分が別々に作られ、海の上で2つを合体させることで完成させるというプロセスとなっています。
巨大なクレーン船を使って、完成した「上半身」をつり上げて下半身と合体させるところ。重さは主塔が670トン、羽根が1枚あたり75トン、つまり3枚で225トンあり、上半身の総重量は895トン。
海上で合体されて完成した風車は、船にえい航されてスコットランド沖まで運ばれ、所定の位置へと係留されました。この作業を5回繰り返して設置を行い、ついに発電が開始されました。構想の段階から数えると、じつに16年がかりのプロジェクトとなったそうです。
「ノルウェーのスタトイルがなぜスコットランドで風車を?」という疑問が起こるわけですが、そこにはスコットランド自治政府が定めた法律「The Climate Change (Scotland) Act 2009」があるとのこと。スコットランド自治政府は、気候変動に積極的に取り組むために再生可能エネルギーを導入して2020年までにスコットランドの電力需要の100%に相当する電力を再生可能エネルギーで発電すると表明。そのための手段として、自治政府がスタトイルが開発した洋上風車の導入を決めたようです。スタトイルは海底の油田から石油をくみ上げる海上油田プラントを持っていることから、今回のHywind Scotlandのような浮体式の洋上風車を作るのに必要なノウハウを持っていたことも背景にある模様。
【イギリス】スタトイル、スコットランド沖で世界最大の浮体式洋上風力を建設 |
スコットランドが世界最大の風力施設を建設する背景には、スコットランド自治政府が定めた法律「The Climate Change (Scotland) Act 2009」がある。自治政府自らが気候変動に積極的に取り組もうと2020年までに1990年比で42%の二酸化炭素排出量の削減、さらに2050年までには8%を上乗せ削減することを定めている。自治政府は、この目標を達成するため、2020年までにスコットランドの電力需要の100%に相当する電力を再生可能エネルギーで発電すると表明している。英国全体としては、2020年までに全エネルギー需要の15%を再生可能エネルギーにするとコミットしており、予測によると、2020年までに電力エネルギーの30%以上が再生可能エネルギーで発電されるという。現在、洋上風力は全ての風力発電設備容量の3%に過ぎず、ほとんどの風力発電所は陸地に設置されているが、英国のように陸地で施設建設認可が得にくい国では、洋上風力発電は発展の可能性が高い。
世界ではこのような海上発電施設の計画が進められており、日本では福島沖で、そしてドイツやアメリカ、中国などでも研究が進められています。これとは別に、海の流れ「潮力」を利用した「潮力発電所」がスコットランドで稼働していたり、中国では水上の広大な空間を利用して太陽光パネルを敷き詰めた大規模発電基地の建設が進められています。
このように、従来の化石燃料や原子力に替わる再生可能エネルギーの開発が世界中で進められている状況となっているのですが、一方では洋上風力発電に依存しすぎると、地球の気候に悪影響を与えかねないという調査結果も明らかになっています。電力エネルギーを作り出すためには何かのエネルギーを電力に変える必要があるわけですが、あまりに多くのエネルギーを拝借するとバランスが崩れてしまうのは「当たり前」のことともいえます。今後も人口が増加し続ける地球が必要とするエネルギーをどのようにして作り出すのか、今後人類は大きな課題に取り組み続けることから避けられそうにありません。
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日本も周りが海に囲まれている地形なので、こうした洋上風力発電もっとできてもいいような。。。