高校生、発明で賞金900万円ゲット!

引用元:<http://gigazine.net/news/20150520-airplane-germs-prevention-system/

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17歳の高校生が旅客機での空気感染防止システムを発明して賞金900万円をゲット


多くの人を乗せて世界中の国を飛び回る飛行機は言うまでもなく非常に便利なもの。しかし、飛行中のキャビン(客室)は閉鎖された空間であるため、仮に他の人が伝染病などを患っていた場合に二次感染を受ける可能性が地上よりも高くなってしまうことは明白です。


この問題に対しては目立った対策がとられていなかったのですが、ある高校生が既存のキャビン換気システムを改良するだけで細菌感染を防止する装置を発明。コンテストに応募したところ、最優秀賞を獲得して日本円で約900万円という賞金が贈られました。


このシステムを発明したのは、なんと弱冠17歳というカナダ在住の高校生、レイモンド・ワンさんです。ワンさんはこの換気システムを、半導体メーカーのIntelが開催する高校生向けの科学コンテスト「インテル国際学生科学フェア」に応募したところ、第1位を獲得して賞金7万5000ドル(約900万円)を手にしました。


ワンさんが開発した、「空気のカーテン」を利用して病原体の飛沫を防ぐシステムがこちら。実際の飛行機のキャビンを模して作られた機内に煙を流し、既存のシステムとワンさん考案の新システムで全く異なる空気の流れが生みだされている様子を見ることができます。


既存の空調システムでは、このように座席上部から送り込まれた空気はキャビンの中央で渦を巻いて滞留する様子がわかります。この空気もいずれは床の排気口から吸い出されて機外へ排出されるのですが、仮に感染者の持つ病原体が空気の流れに乗ってしまうと、渦によって周囲の乗客へと拡散されてしまうリスクが存在しています。


一方でワンさんが考案した空調システムでは、各乗客の間を遮るように空気を吹き付けることで「エアカーテン」を疑似的に作りだし、周囲の乗客からの病原体を効率的にシャットアウトするように空気の流れがデザインされています。


ワンさんがこのシステムを考案するきっかけになったのは、2014年に西アフリカで大流行して世界的問題にもなった「エボラ出血熱」の一件だったとのこと。エボラ出血熱は血液や体液などを感染源とし、いわゆる空気感染のリスクは非常に低いのですが、例えばインフルエンザやSARS(サーズ)などの病原体を持つ乗客が飛行機に搭乗していると、他の乗客に感染が拡大する危険性が一気に増大します。


この状況に関心を抱いたワンさんは、航空機に備わっている換気システムについて調査を開始。すると、既存の航空機メーカーでは全くといってよいほど病原体の空気感染を防止するような対策を盛り込んでいないことを突き止めました。ワンさんによると、「従来のキャビンには、2つの大きな空気の渦が前後方向を軸にして渦巻いており、病原体がバラ撒かれている状態です」と語ります。


そこでワンさんが考案したのが、強制的に乗客ごとを仕切るエアカーテンを作り出すことで「パーソナル・ベンチレーション・ゾーン(個別通気ゾーン)」と名付けられた空間を作り出し、病原体が別の乗客に到達することを防ぐ仕組みというわけです。ワンさんによると、このシステムにより各座席に届く新鮮な空気の量が最大で190%増加し、病原体の飛散リスクを55分の1に減少させることが可能とのこと。


このシステムの特徴は、既存のキャビン空調システムに簡単な部品を追加するだけですぐに導入できるところにあるとワンさんは語っており、試算によると1機あたりの導入コストはわずか1000ドル(12万円)という非常に安価なもの。既にワンさんはこの空調システムの特許を出願中だそうです。


ワンさんにとって記念すべき大会初優勝となったわけですが、実はこれはワンさんにとって初の発明というわけではないそうです。これまでにも屋根に当たる雨によるエネルギーを利用した発電システムや、自己クリーニング機能を搭載した屋外用ゴミ箱などを開発してきたとのこと。


発明するにあたりワンさんは「アイデアを思いつくことがまず大事なことですが、もう一つ大事なことは、そのアイデアをいかに世の中に知らしめるかということです」と語っています。なお、既に自身の会社「RayCorp」を起業していることが自身のプロフィールページ「about.me」で触れられています。


今年度で高校を卒業するワンさんですが、今後は大学に進んでエンジニアリングを学ぶことにしているそうです。なお、2015年のインテル国際学生科学フェアでワンさんに次ぐ2位を獲得したカナダ出身のニコール・ティセカさんは、ワンさんの知人とのこと。途上国でも利用できる安価な使い捨てHIV検査キットを開発し、5万ドル(約600万円)の賞金を手にしています。彼女もすでに、この機器を開発する会社を起業しているそうです。

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インテル国際学生科学フェアはかなり著名な大会で、日本人の学生の参加者たちも大活躍しています。日本ではなかなか取り扱ってもらえないんですけど。その名の通り、科学の甲子園の世界版です。当然のプロ野球のスカウトと同様、優れた研究は大学や企業から目をつけられて研究資金などの出資が受けられます。くわしくは「理系の子ー高校生科学オリンピックの青春ー」という本の中で書かれていますので、気になる方はぜひ一読を。




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