プレス成形機によって成形された素材を、高温の炉に入れて焼き固めます。
成形体は高温で加熱をすることで、粒子同士が結合し、合金化します。
Molded parts are sintered in the fume gas under the temperature below the melting point.
焼結機構
a)第1段階:表面拡散、金属粉末の粒子間の接着
b)第2段階:内部拡散、粒子成長、空孔の孤立化・球状化
焼結炉
焼結炉は予熱ゾーン、焼結ゾーン、冷却ゾーンの3つのゾーンから構成され、圧粉体は予熱ゾーンから挿入され、焼結ゾーンを通り、冷却ゾーンで冷やされ炉外に排出される。
予熱ゾーン:圧粉体に添加されている潤滑剤を飛ばす加熱ゾーン
焼結ゾーン:決められた温度で一定時間保持し、粉末同士を結合させる加熱ゾーン
冷却ゾーン:焼結ゾーンで加熱された焼結体を室温近くまで冷却するゾーン
焼結炉の種類
メッシュベルト炉:圧粉体の挿入から排出までをステンレス製メッシュベルトに乗せ、自動的に挿入する方式。使用温度=最高1150℃程度
プッシャー式焼結炉:圧粉体を黒鉛などの枠に入れ1個ずつプッシャー装置により焼結炉内に挿入する方式。使用温度=最高1300℃程度
雰囲気ガス
製品は焼結中、酸化を防止するため、焼結炉内に雰囲気ガスを流します。製品は焼結炉内で雰囲気ガスに包まれた状態で高温で焼結されます。
雰囲気ガスを流す意味
物質が酸素と結びつくことを酸化、逆に酸素が離れていくことを還元といいます。
物質を加熱する際、物質は酸素と結びつく性質があります(=酸化)。圧粉体が焼結される過程で酸化反応を起こすと焼結が進まず、製品本来の特性が発揮されないため、不具合の発生につながります。この酸化を防ぐため、焼結炉内には雰囲気ガスを流す必要が出てくるのです。
雰囲気ガスの種類
一般に粉末冶金では、分解アンモニアガスと変成ガスが多く使われています。他に水素ガスと窒素ガスを混合して使用する場合もあります。
a)分解アンモニアガス
分解アンモニアガスは、アンモニアガスを加熱した触媒の中を通し、水素75%と窒素25%に分解した強還元性のガスです。一般にAXガスと呼ばれています。
b)変成ガス
変成ガスは、メタン、ブタン、プロパンなどの炭素水素系ガスと空気を混合し、加熱した触媒の中を通し、水素30~40%、一酸化炭素ガス20~25%、窒素35~50%から成る弱還元性のガスです。原料ガスと空気の混合比率を変えることで、浸炭性ガスにも脱炭性ガスにも変えられます。一般にRXガスと呼ばれています。
浸炭と脱炭
浸炭とは、焼結中の製品に炭素が必要以上に侵入していく現象で、浸炭が進行すると製品の硬さが増し、特性が変化して不具合を発生させる。
例)軸受けの場合、相手のシャフトとの硬さのバランスが崩れ、カジリを発生させる原因となる。
脱炭とは、焼結中の製品から炭素が抜けていく現象です。脱炭が進行すると、製品の硬さが低くなり、硬度不足などの不具合が発生します。